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龍人鳥の徒然フォト日記

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2018年 10月 23日

『壱岐島・筑後川流域古墳めぐり/二日目、壱岐島内古墳探訪(3)双六古墳』 kk-4

10月17日(水)、晴れ。
壱岐島古墳探訪。

鬼の窟古墳から双六古墳へと向かう。県道172号線を西へしばらく走る。
県道を外れ、細道を走り、南側の高台へ向かう。

双六古墳。
おお、何と立派な後円部であることか!
さきたま古墳群の丸墓山古墳(円墳)を思い起させるような急斜面の墳丘の姿でもある。
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墳丘の東側を進み、前方部へと向かう。
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くびれ部付近をカメラに収める、古墳探訪の相棒、武衛さん。
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墳丘全景。
前方部の高さは後円部より随分、低い。
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墳丘の規模。
どういう訳か、説明板は設置されておらず、ネット検索および現地で入手した資料を参照し、墳丘の規模を調べてみた。
墳丘:2段築成
全長:91m
くびれ部:幅24m
前方部:長さ55m、幅36m、高さ5m
後円部:直径43m、高さ10.6m
墳丘の前方部は後円部に比して長く、後円部はお椀を伏せたような急斜面をなす特徴を有している。
葺石や埴輪など外表施設はない。

前方部の墳丘に上り、後円部を眺める。
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方位磁石を墳丘上に置き、前方後円墳の墳丘の向きを確認。
前方部を南、後円部を北に向けて築造されている(正確には若干、西に振っているが)。
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前方後円墳の向きや横穴式石室の向きなどを確認するため、方位磁石を携行している。
前方後円墳の向きには法則性や約束事はない(但し、血縁の強い人物の墓を並べて築造するときは同じ方位という説もある)といわれているが、築造方位はやはり気になるのである。

前方部から後円部へと進む。
後円部の墳丘の急斜面を上る。
後円部の墳丘の中央に立ち、前方部を眺める。
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ここでも墳丘上に方位磁石を置く。
当然のことながら、前方部と同じ方位を指すことは分かっているのだが...。
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後円部の墳頂から北側を眺める。
先程、到着したときに見た「県内最大の前方後円墳 双六古墳」の木札の裏側も見えている。
先程、到着したときは後円部がお椀を伏せたように見えたが、それは角度的なことでそう見えただけで、墳丘上からはお椀状には見えない。
2段築なので、"お椀"の北・東・西側は1段下がっており、1段目の平坦部が北に向かって伸びていることが見て取れる。
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後円部墳頂の北端に立ち、墳頂北縁、1段目平坦部、裾部を眺める。
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後円部西側を眺める。
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西側の裾に大きな石が散見される。
石室の一部であろうか?
西側に下りての見分が楽しみである。
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東側の写真は?
東側の写真がないことに本ブログの編集中に気付いた。
墳丘上からの眺望に見惚れ、東側の写真を撮り忘れたようだ(まあ、そんなこともあらぁな)。

後円部墳丘を下り、西側へ回る。

後円部墳丘/西側から。
横穴式石室の開口部がくっきりと。
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石室は扉で閉じられているようだ。
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石室開口部。
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扉の隙間から石室内を見分する、古墳探訪の相棒、武衛さん。
見事なウンチング・スタイル!
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石室内部/扉の隙間から見分。
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もう少しアップで。
玄室内の様子も捉えることが出来た。
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上述の通り、説明板は設置されておらず、ネット検索および現地で入手した資料を参照し、石室の概要を調べてみた。
横穴式石室。
南西方に開口、玄室・前室・羨道で構成されている。
江戸時代末期、文久元年(1861年)に書かれた『壱岐名勝図誌』に石室の記述があり、その頃には既に開口されていたことがわかる。
石室全長:11m
玄室:長さ3.50m、幅2.58m、高さ4.28m
前室:長さ6.28m、幅1.80m、高さ1.68m
羨道:長さ1.20m、幅1.28m、高さ1.70m
玄室には朱塗痕があるほか、玄室床面には全面に凝灰岩製の敷石が敷かれたと見られる。
前室の壁に50cm x 30cm程の船形の線刻画が描かれており、松浦家の旗印である三ッ星と「肥前松浦郡…」の落書きが認められる(このあと、訪ねた「壱岐風土記の丘・古墳館」の展示で、この線刻画の実測図と拓本と共に詳細な解説がなされており、本ブログの第6話で詳細を綴った)。
出土品としては;
玄室からは、須恵器・土師器・鉄製品・ガラス玉・二彩片・金糸などが出土。
前室からは、金銅製圭頭大刀把頭・把元・八窓鐔・雲珠・杏葉・金銅製冠・須恵器・土師器・ガラス玉などが出土。
羨道からは、金銅製鈴・鉄鏃・銀象嵌鐔・馬具・土師器・短刀などが出土。
石室入り口からは新羅土器が出土。
石室外(開口部から90cmの所)から、金銅製鳳環頭大刀頭が出土(石室外にあったのは乱掘時に外入手した資料を参照し、搔き出されたものと思われる)。
これらの遺物は「長崎県双六古墳出土品」として国の重要文化財に指定されている。

双六古墳/石室外出土「国重要文化財 金銅製鳳環頭大刀頭」。
(出典:後刻、訪ねた「壱岐風土記の丘 古墳館」展示写真)
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双六古墳/前室内出土「国重要文化財 金銅製パルメット文飾金具」。
(出典:翌日、訪ねた「壱岐市立一支国博物館・長崎県埋蔵文化財センター」展示品)。
この飾金具は冠の一部と考えられる。
パルメット文はエジプトを起源とする。
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北西角から。
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北西角から少し前方部も入れて。
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北側から。
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秋の実り。
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今日の jitensha。
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双六古墳とその環境について、上手く表現したサイトがあったので、その文章を引用させて貰う。
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この古墳は標高100mほどある、広々とした草原の中にあります。
発見されたときは周囲は山になっていましたが、周辺の木を切り、草をはらって見学しやすいようになっています。
周辺は竹山に囲まれていて、春先になるとたけのこが一面に顔を出します。
たけのこ狩りを兼ねて見学するのも一方かもしれません。
周辺の竹山には、台湾リスが飛び回っています。
ご覧になってもお分かりのように前方後円墳です。
(中略)
墳丘の全長は91m、後円部の全長43m、前方部の全長が48mあります。
前方部と後円部の高さがアンバランスのような感覚を受けます。
前方部の高さが5m、後円部の高さが10mなので、後円部が異常に高くなっています。
この点からすれば、非常に珍しい形をしているといえます。
(以下、略)
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この文章の通り、広々としたところに前方後円墳が位置しており、住宅が近くまで迫った古墳に見慣れてしまっている者にとって、晴れやかな気分にさせてくれる景色である。
周辺は木立と竹林、前掲の「秋の実り」の赤い実はそうしたところで見られものである。

双六古墳をあとにして、次の探訪地、「壱岐風土記の丘」と掛木古墳へ向かう。

フォト:2018年10月17日
フォト#21:2018年10月18日

(つづく)



by ryujincho | 2018-10-23 23:04 | 秋の九州史跡めぐり 2018 | Comments(0)


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