9月3日。
男鹿半島をめぐり、男鹿温泉郷に投宿。
夕餉の席で「石焼き」のパフォーマンスが登場。
水の入った桶の中に魚介を入れる。
火ばさみで焼けた石をつかむ。
大きなお玉杓子で焼けた石を受け取り、桶の中へ。
炭火で熱せられた石。
石は男鹿の海岸で波に洗われ、丸くなった石。]
熱せられた石はおおよそ800度。
熱せられて、割れるような石は駄目。
高温に耐えて真っ赤になる金属のような石でなければならない。
そんな石を「金石」というそうだ。
専門的には石英安山岩質溶質凝灰岩だそうだ。
熱せられた石でぐらぐらと煮えたぎる桶の中。
味噌で味を調える。
ざく切りのネギを放り込む。
そして、更に熱せられた石を放り込む。
ざく切りのネギもしんなりし、出来上がり。
すき焼きは、鋤を火にかざして肉や魚を焼いたことに由来するという(諸説あり)。
山口県発祥の「瓦そば」は、瓦で肉や野菜を焼いていたことが、後に茶そばを焼くようになったという(諸説あり)。
いずれも火の上に道具を置いて焼く料理法である。
一方、男鹿の石焼きの道具は、秋田杉の桶。
木製の桶は火の上には置けない。
猟師たちは、海岸で火を焚き、海岸に落ちている石を拾い、その石を焚き火で焼き、桶の中に放り込むという鋤焼きや瓦焼きとは全く発想の異なる料理法を編み出したのである。
そんなことを思いながら、椀によそわれた汁を頂戴した。
フォト:2016年9月3日