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龍人鳥の徒然フォト日記

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2015年 03月 21日

『やいま虫撮りの記/鳥見も/ズグロミゾゴイ』 yym-4

黒島。
5年前の冬、昼餉を摂った食堂「あーちゃん」に電話を入れる。
「今日、お昼はやっていますか」。
「はい、やっています。ヤシガニでしたら3食しかないので、予約が必要です」。
「ヤシガニは結構です。前回はシャコ貝の刺身を頂戴したと記憶します。今回は普通のメニューで結構です」。

店に入る。
「チャンプルーにしよう」、「豚カツにしよう」、「ソーキそばにしよう」。
昆虫班の六々さんと小生はソーキそば、昆虫班以外の毒取さん、呑々さんは豚カツ、摂津さんはチャンプルーを頂戴する。

食事を終え、ふと、入り口のガラス戸の向こうを見た。
道を挟んで奥の民家に通じる細道に何かいる。
「六々さん、なんかおるで。ヤンバルクイナやないけど、似た鳥が」。
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草むらに入って行こうとする。
ちょっと、待って、と念じる。
『やいま虫撮りの記/鳥見も/ズグロミゾゴイ』 yym-4_a0289546_1853221.jpg
ちょっと、待ってくれた。
こちらを一瞥するが如くに顔をあげてくれた。
黄色い虹彩を見せてくれた。
『やいま虫撮りの記/鳥見も/ズグロミゾゴイ』 yym-4_a0289546_18534512.jpg

昆虫班長にして、鳥見班長でもある六々さんがその名を調べてくれた。
・地元での呼び名は「クイナモドキ」
・和名は「ズグロミゾゴイ」

名前が分かったので、更に詳しく調べてみた。
「鳥くんのみんなで作る野鳥図鑑」のほか、幾つかの資料を参照してみた。
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学名:Gorsachius melanolophus
和名:ズグロミゾゴイ(頭黒溝五位)
英名:Malayan Night Heron
種目:コウノトリ目サギ科ミゾゴイ属
体長:47-51cm
生態:常緑広葉樹林や川沿いに生息する。水田、湿地、畑、人家の庭などにも姿を見せる。
季節:留鳥として、主に、八重山諸島の石垣島、西表島、黒島に分布。
備考:絶滅危惧II類(VU)

識別ポイント:
生息地が限られていて、見間違う野鳥はほとんどいない。
主に、朝夕を中心に、林縁部、道路上など、森林に隣接した開けた場所で採食している姿を見つける場合が多い。
ゆっくり歩いて地面を凝視して、ミミズなどを見つけて食べる。
警戒するとすぐに立ち止まる姿は、ぼけっとしているように見えてかわいい。
頭の上が黒いことでミゾゴイと識別できる。
幼鳥は、全身に白班が散りばめられている。
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頭の上が黒いから、「頭黒(ズグロ)」。
それが名前の由来になっている。
今一度、写真をじっくり見ると、2枚目の写真がその特徴をよく捉えている。
「ズグロミゾゴイ」のうち、「ズグロ」の由来は分かった。
では、「ミゾゴイ」とは何ぞや?
何でも由来を調べなければ気がすまない癖が頭をもたげて来た。
調べてみた。
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[ミゾゴイ]
ミゾゴイは、田、畔の小溝を窺い、サワガニやミミズ、魚を獲る。
群れず単独で行動する。
常に田沢の水面の間にすむのでこの名がある。
(出典:5000季語の検索サイト/きごさい)
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「ミゾ」は「溝」のことなのである。
ここでは「ミゾ」について触れられているが、「ゴイ」については触れられていない。
「ミゾゴイ」は漢字では「溝五位」である。
「ゴイ」が付く鳥で直ぐに頭に浮かぶ鳥として「ゴイサギ」がいる。
漢字では「五位鷺」である。
「ゴイサギ」の名の由来を調べてみた。
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なぜ、ゴイ(五位)サギになったかの由来は、ときの天皇、醍醐天皇が、池にいたこの鳥を見つけ、捕えるように家来に命令しました。
鳥は、家来が近づいても逃げることなく、おとなしくつかまりました。
天皇から、命令にさからわず神妙であると、褒美に五位の位を賜わり、それからこのサギは五位のサギ、ゴイサギになったというのです。
(出典:サントリー/日本の鳥百科/ゴイサギ)
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なるほど、これで「ゴイ」の由来も解けた。
ズグロミゾゴイ(頭黒溝五位)、ミゾゴイ(溝五位)、ゴイサギ(五位鷺)のほか、「ゴイ(五位)」の付く鳥を調べてみた。
サンカゴイ(山家五位)
ササゴイ(笹五位)
ハシブトゴイ(嘴太五位)
ヨシゴイ(葦五位、葭五位)
随分と五位の位を頂戴した鳥がいるのだ。
ゴイサギに似ているところから来ている名もあるようだ。

ズグロミゾゴイに出遭ったお陰で随分とベンキョーが出来た。
今回の旅は<虫撮り>がメインであり、鳥に気持ちが行くと、「虻蜂取らず」、「二兎を追うものは一兎も得ず」状態になってしまうので、虫に専念と心に誓っていたのだが、早速、禁を破ることになった。
しかし、破ってよかった。
「主に、八重山諸島の石垣島、西表島、黒島に分布」とあるから、貴重な鳥を見る機会を得たのであった。
食堂「あーちゃん」で昼餉を摂ったのは大正解だった。

フォト:2015年2月24日、黒島にて

by ryujincho | 2015-03-21 23:51 | やいま虫撮りの記(2015) | Comments(0)


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