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龍人鳥の徒然フォト日記

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2014年 04月 23日

『タシギと鴫立庵』

田起こしの終わった田んぼで何やら元気に動く鳥が見える。
目を凝らして見てみた。
4羽のタギシが泥の中の長い嘴を突っ込んで懸命に餌を啄ばんでいた。
『タシギと鴫立庵』_a0289546_23572580.jpg

タシギを見て思い出すこと、それは、2010年の暮れ、盟友、大給守殿と共に、藤沢から小田原へ向けてのポタリングの途中、大磯で「鴫立庵(しぎたつあん)」に立ち寄ったときのことである。
兄弟ブログ「上総守が行く!」の2010年12月19日付「湘南・小田原ポタ」の中でそのときのことを縷々綴っているので、その抜粋をここにアップロードしておこう。
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「海水浴発祥の地」の碑や海岸の景色を眺めた後、西へ走る。
「あれ?この先は、自転車は進入禁止となっておりまするぞ!」。
「自動車専用の、西湘バイパスに入ってしまいまするな」。
大磯漁港の駐車場を過ぎた辺り、「海水浴発祥の地」の碑の少し手前に、「太平洋岸自転車道」の標識があったことを思い出した。
「太平洋岸自転車道」の標識まで戻ることにした。
標識は名称が書かれているだけで、矢印で示すなどの案内のないものであった。
標識の掲げられた角を曲がり、北へ向う坂を上る。
「矢印のない標識は不親切!」、「坂は少しだけだから、堪忍してやる!」とか、ぶつぶつ言いながら、短いながら、急坂を上る。
人間、腹が減ってくると愚痴っぽくなるのは世の常だ。

短いながら、急な坂を上り、細道を数百メートル、北上すると、国道1号線に出た。
国道1号線というよりも、東海道と言った方が武家言葉もどきを喋りながら遊んでいる我らには相応しいかもしれない。
東海道に行き当たった角に、古木と疎水があった。
その向こうに茅葺屋根が見えた。
一夜漬け事前ベンキョーの中にあった「鴫立庵(しぎたつあん)」だ。
「鴨料理やでせうか」。
「腹が減ると、鴫も鴨に見えるのも止むを得ぬことかと。鴫は田んぼの"田"、鴨は"甲(かぶと)"に御座りまする。腹が減ると目が霞み、田んぼの"田"の縦棒が下に突き抜けているかどうかも見えませぬな」。

この地は、西行が「こころなき 身にもあわれは しられけり 鴫立沢の 秋の夕暮れ」と歌に詠んだ、鴫立沢。
江戸初期に、西行を祀るため、ここに庵が建てられたとのこと。
京都の落柿舎、滋賀の無名庵と共に、日本三大俳諧道場に数えられる草庵である。
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フォト:2010年12月4日
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今回のタギシの姿は西行が詠んだ歌とは全く趣きを異にしているが、シギは秋の夕暮れの風情も醸し出せるのである。

フォト:2014年4月17日、手賀沼北岸にて

by ryujincho | 2014-04-23 23:58 | 鳥見雑記 | Comments(0)


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