シェーンブルン宮殿を訪れたのは、霧の立ち籠める朝だった。
その霧が少しずつ晴れる中、もうひとつの夏の離宮、ベルヴェデーレ宮殿を訪れた。
年初に世田谷寺社めぐりをした際に世田谷八幡宮で子連れ狛犬を見て以来、狛犬コレクションに凝っている小生にとって、大いに感じ入るものに遭遇した。
ベルヴェデーレ宮殿/上宮南門。
一対のライオン像を眺めながら、サントリーだなあ、と思った。
帰り際、再び、同じ門を通り抜けた。
"サントリーのライオン像"をじっくりと眺めた。
左のライオン像をアップで。
右のライオン像をアップで。
左右のライオン像をじっくりと見た甲斐があった。
何と、左右で口の開き方が異なっているではないか!
左のライオン像は口を開いた《阿形》、右のライオン像は口を結んだ《吽形》である。
阿吽形で一対となっている姿は狛犬と同じである。
同じではあるが、狛犬と異なる点もある。
それは、左右が狛犬とは逆になっているということである。
即ち、狛犬は右が《阿形》、左が《吽形》である。
余談ながら、偶に、右/《吽形》、左/《阿形》の狛犬が鎮座した神社も見受けられるが、この置き方は間違いだろうというのが、狛犬コレクターである小生の意見である。
何故なら、寺院の表門で見受けられる金剛力士像(仁王像、二王像)は、開口の阿形像が右、口を結んだ吽形像が左だからである。
しかし、中欧で出遭った阿吽形のライオン像が左右、逆であっても全く問題ない。
然様な阿吽形のライオン像に出遭ったことが狛犬コレクターとして大事なことなのであった。
クリムトの作品やスフィンクス像、そして、ライオン像を愉しんだベルヴェデーレ宮殿をあとにして、ウィーンの市街地へと向った。
フォト:2012年10月21日
(つづく)