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龍人鳥の徒然フォト日記

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2017年 11月 25日

『旧井上家土蔵SPレコードコンサート』

11月25日、晴れ。
布佐の旧井上家住宅の土蔵でSPレコードコンサートが開かれるというので、手賀沼CR、手賀川CRを走り、布佐へ。
この時期にしては珍しく、東の風で向かい風。

旧井上家住宅。
表門。
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主屋。
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主屋内部。
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井上家は、江戸時代前期から江戸尾張町(現:銀座)で食料雑貨商「近江屋」を営んでいたが、4代目の井上佐次兵衛の代に「享保の改革」の一環として実施された手賀沼の干拓事業に参入すべく、利根川舟運の主要な港町、布佐郊外に移り住み、相島新田を開いた豪農である。

SPレコードコンサート会場の、新土蔵。
新土蔵は昭和期に建てられたもの。
隣の保存整備工事中の建物は江戸末期に建てられた土蔵。
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「土蔵でSPレコードコンサート」。
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銘板”Brunswick”。
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ブランズウィック社は、もともと、ビリヤード台やボーリング場の製造と設備、高級家具の製造で知られたアメリカ最大手の木工メーカー。
同社による蓄音機の製造は1916年に始まり、後発のメーカーながらもエジソン社の蓄音機のケースを製作していた強みを生かし、ビクター社と並ぶ程の蓄音機メーカーに成長したという。
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竹針。
右下の針はサボテン針のようだ。
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レコード針を眺めながら思い出すのは幼き頃のこと。
小学校の低学年の頃までは、SPレコードであった。
針は、竹針やサボテン針ではなく、鉄針を使っていた。
親から言われたことは、「2回、掛けたら、針は換えるんだよ」であった。
数あるSPレコードの中で、お気に入りはロッシーニの「ウィリアム・テル序曲」であった。
裁縫用の長い物差しを腰に差し、首に巻いた風呂敷をはためかせながら、曲に合わせ、部屋の中を走り回っていた。
当時は、走り回れるほどの、結構大きな家に住んでいたのであった。
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プログラム。
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エンリコ・カルーソー(1873-1921)/伊テノール歌手、ナポリ民謡「オーソレ・ミオ」
アメリータ・カルクルチ(1882-1863)/伊コロラトーラ・ソプラノ歌手、アダン「きらきら星変奏曲」
フォオドール・シャリアピン(1873-1938)/露バス歌手、ロシア民謡「ステンカ・ラージン」
リリー・ポンズ(1904-1976)/仏コロラトーラ・ソプラノ歌手、アリアビエフ「ナイチンゲール」
イポリカ・ツィツェル(1906-1971)/洪バイオリニスト、ポリアキン「カナリア」、プラーガ「天使のせれなーで」
パブロ・カザルス(1876-1973)/西チェリスト、バッハ「G線上のアリア」、バッハ「アンダンテ」
エディット・ピアフ(1915-1963)/仏シャンソン歌手、「ばら色の人生」
小唄勝太郎(1904-1974)/端唄「都々逸」

我々の世代でも馴染みのある演奏家が幾人かいる。
カルーソーは、オペラ史上、最も有名なテノール歌手の一人として、我々の世代でもその名を知っている。
シャリアピンは、来日時に帝国ホテルで所望し、調理された「シャリアピン・ステーキ」でも名を残している。
20世紀最大のチェリスト、パブロ・カザルスが1961年、ケネディ大統領に招かれ、ホワイトハウスで世界平和を願い、演奏したカタロニア民謡「鳥の歌」のCDは今も愛聴している。
エディット・ピアフが歌う「ばら色の人生」、シャンソンにはSPレコードの音がよく似合う。
アンコールはイブ・モンタンが歌う「枯れ葉」、名曲である。

SPレコードからLPレコードへ、そして、CDへ。
LPレコードとCDは、しばらく併用していたが、1990年代半ば、遂に、メモリアルな数枚を残し、泣きの涙で、数百枚のLPレコードを処分した。
以来、ずっとCDで音楽を楽しんでいる。
近年、ダウンロードとか、イヤフォンで聴くとかで、音楽を聴くということが随分とお手軽になってしまった感がある。
今日、こうしてSPレコードの音に触れ、昔の人が苦労して開発したアナログレコードの功績に思いを馳せ、また、今も蓄音機とSPレコードを大事にしながら、その音色を楽しんでいる人たちに敬意を表したい。
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手賀川CR、手賀沼CRを走り、帰途に。
往路、向かい風であった東風は、帰路は追い風に。
11月下旬の夕方3時過ぎともなれば、陽も落ち掛けて寒い。
だが、SPレコードコンサードの司会者さんの言葉を思い出し、寒さに負けず、しっかりとペダルを踏むのであった。
その司会者さんの言葉は、「土蔵の中は寒いですが、SPレコードの音は暖かいです」であった。

フォト:2017年11月25日

by ryujincho | 2017-11-25 23:31 | 街歩き、村歩き、ポタリング | Comments(0)


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