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龍人鳥の徒然フォト日記

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2017年 09月 22日

『鳥とゴルフ』

9月末に我孫子ゴルフ倶楽部で開催される第50回日本女子オープンゴルフ選手権の掲示板に「鳥とゴルフ」に関する記事があった。
ゴルフ用語のバーディやイーグル、アルバトロスの由来は何となく承知していたが、すべての用語がしっかりとまとめられていた。
よって、「鳥見雑記」のひとつとして、「鳥とゴルフ」の記事をここに全文掲載しておこう。

「鳥とゴルフ~羽毛で作ったゴルフボール~」
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人は昔から、空を自由に飛びまわる鳥にあこがれを抱いていたのでしょう。
例えば、鳥の羽を飾りとして身に付けたり、鳥の姿を真似て踊ったりする風習は世界各地に見られ、それは「自由に空を飛べる力」を求める気持ちの現われと考えられます。
ゴルフボールも一時期、球状に縫った革の中に鵞鳥の羽毛を詰めたものを使っていました。
羽毛の代わりに綿や布を詰めても同じくらい飛びそうですが、「空を翔ける鳥」の羽を使うと、いかにも遠くまで飛びそうに思えたのではないでしょうか。
その羽毛球を1個作るためには、シルクハット一杯分ほどの大量の羽毛が使われました。
球状の革の小さな穴に錐のような道具で、羽毛をぎゅうぎゅうに詰め込みます。
手前の端を胸に当て、針の先でボールの穴に力一杯押し込むので、連日そんな作業を繰り返したボール作りの職人は、胸が圧迫されて病気になり、若死にする人が多かったといいます。
鳥にとっても迷惑だったでしょうが、人にとっても命がけのボール作りでした。
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「ゴルフのスコアと鳥の関係」
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皮肉なことに実際にボールが飛ぶようになったのは、羽毛を使わずにゴムを使うボールが出てからです。
19世紀半ばにガッタパーチャという樹脂を団子のように丸めて成型したボールが使われるようになり、飛ぶ距離が大きく伸びました。
さらに明治31(1898)年、ゴムを糸状に切って引き伸ばして、芯に巻き付ける糸巻きボールが作られました。
このボールはさらに大きな飛距離を実現しました。
これらの新たなボールの開発により、ゴルファーのスコアも良くなりました。

明治31年か明治32年(1899)年(一説では明治36(1903)年)、アトランティックシティのコースでアブとウィリアム・スミスの兄弟、そして友人のジョージ・クランプがプレーしたときに、アブが2打目をピンそばにピタリと付けました。
それを見たクランプが「こいつはバードショット!」と叫んだといいます。
この頃、アメリカでは素晴らしいものを俗語で「バード」と呼んでいたようで、以来、「基準打数より1打少ないスコア」をバードの幼児語形「バーディー」と呼ぶようになりました。
語感が可愛らしく、空を翔けて飛ぶイメージもあるこの言葉が広く使われるようになり、「基準よりも良いスコア」に鳥にまつわる言葉が使われるようになりました。

例えば、基準より2打少ないスコア「イーグル」は、小鳥よりも大きく、しかもアメリカの国鳥(ハクトウワシ)であったため付けられました。
そして、基準より3打少ないスコアをアメリカでは「ダブルイーグル」、イギリスでは「アルバトロス」としています。
このようなスコアは珍しいことだったので、名前が付けられたのは後のことです。
諸説ありますが、大正10(1921)年にボビー・ジョーンズが3打少ないスコアを出したときに、一緒に回ったイギリス人ゴルファー、シリル・トレイが付けたとか(摂津茂和著『ゴルフ千夜一夜』)、大正15(1926)年にアメリカ・フロリダ州ウィンストンゴルフクラブでジョン・マクマレーが出したときに、そのコースの古老が付けたという説もあります。
いずれにせよ、その命名者はイーグルよりも大きく、非常に長い距離を悠々と跳ぶアルバトロスの姿が、この快挙にふさわしいと考えたのでしょう。
羽を持たない人間が、思い切り遠くに球を飛ばして少ない打数で目標をクリアしたとき、まるで鳥の能力を持ったような気分になれた・・・これらの名称には、そんな喜びが潜んでいるのかもしれません。

ところで、その「アルバトロス」の仲間が日本にもいて「アホウドリ」と呼ばれています。
体が大きく地上では動作が遅く、飛び立ちのに長い距離が必要で、しかも集団で生息し、警戒心が低いことから、羽毛を取ろうと人が近づいても逃げずに易々と棒で打ち付けられて殺されてしまいます。
このようなことから、人間にやりら放題の「アホウな鳥」という意味でそう名付けられたと言われています。
そして、獲り放題に獲られた結果、一時は絶滅したとされていましたが、幸いなことに「アホウドリ」が鳥島で生き残っていることがわかり、山階鳥類研究所をはじめとする多くの人たちの努力で徐々に増えています。

その他にも「コンドル」と呼ばれるのは、基準打数より4打少ないスコア。
これはトリプルイーグル、ダブルアルバトロスとも呼ばれています。

なお、日本だけでしか使われていませんが、最下位からひとつ上の順位を「ブービー」(カツオドリ)と呼んでいます。

山階鳥類研究所や鳥の博物館など鳥にゆかりのある我孫子市で、この度、第50回女子オープンゴルフ選手権が開催されます。
バーディー、イーグル、アルバトロスなど、良いスコアが飛び出す、にぎやかな大会になることが期待されます。
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写真上段から;
・ボビー・ジョーンズ(明治34(1902)年~昭和46(1971)年)
 米国アトランタ生まれの最強のアマチュア。
 25歳で全英。全米オープンを制覇。
 マスターズ・トーナメントの創設で有名。
・イーグル(鷲)
・アルバトロス(アホウドリ)
・コンドル
・ブ-ビー(カツオドリ)

フォト:2017年9月22日

by ryujincho | 2017-09-22 23:31 | 鳥見雑記 | Comments(0)


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