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龍人鳥の徒然フォト日記

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2017年 01月 27日

『世界遺産 ラスコー展(Ⅰ)』

1月26日、上野・国立科学博物館で開催中の「世界遺産 ラスコー展」を楽しんだ。
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「ラスコー展」に行こうかどうしようかと昨年秋から思案。
年が明け、1月21日(土曜)、TBS「世界ふしぎ発見!30周年スペシャル」を見た。
番組の中で、雑誌「ナショナルジオグラフィック」が毎年世界から選抜する“エマージング・エクスプローラー(新しい時代を切り開く研究者)"の一人、洞窟壁画を研究するカナダの新進気鋭の古人類学者、ジェネビーブ・ボン・ペッツィンガー女史が紹介された。
彼女が注目したのは、動物画ではなく、これまで見過ごされてきた図形や記号で、ヨーロッパ中の洞窟の図形や記号を調査し、その解読に挑戦しているのである。

洞窟壁画の中に、図形や記号があることをこの番組で知り、図形や記号を是非見たいと思い、「ラスコー展」に行こうと決心した。

TBS「世界ふしぎ発見!」から、少々、画像を拝借して。
古人類学者、ジェネビーブ・ボン・ペッツィンガー女史。
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図形と点。
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ヨーロッパ中の洞窟で集めた32の記号。
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自然界や生活のことを表した記号との仮定のもと、女史は一生を掛けてその解読に挑むという硬い決意。
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1940年、世紀の大発見をした4人の少年のうちの一人、シモン・コエンカス少年(再現映像)。
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今や好々爺となったシモン・コエンカス氏が登場。
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国立科学博物館「ラスコー展」へ。

「ラスコー展」は全8章で構成されている。
第1章 衝撃の発見、壁画の危機、そして、閉鎖
第2章 封印された洞窟を開く よみがえるラスコー
第3章 洞窟に残されていた画材・道具・ランプの謎
第4章 ラスコー洞窟への招待
第5章 ラスコーの壁画研究
第6章 クロマニョン人の世界 芸術はいつ生まれたか
第7章 クロマニョン人の正体 彼らはどこから来たのか
第8章 クロマニョン人の時代の日本列島

第1章 衝撃の発見、壁画の危機、そして、閉鎖。
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ラスコー洞窟とその壁画は、1940年に地元の少年によって偶然発見されました。
その素晴らしさは感動を呼び、多くの見物客が訪れましたが、そのために壁画の損傷が進みました。
壁画を構成に残すため、現在、洞窟は閉鎖され非公開となっています。
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偶然の発見
1940年9月8日のこと、モッティニャツク村のマルセル・ラヴィダ少年の飼い犬が穴に落ちてしまいました。
秘密の地下通路を発見したと思った少年は、4日後、友だち3人と、間に合わせのランプをもって現場へ戻りました。
入り口を広げて入ったところ、それは新発見の洞窟でした。
驚いたことに、その中には、無数の古そうな壁画が描かれていました。
(以下、調査の様子、研究者や見物客の吐く炭酸ガスの影響で壁画が劣化、閉鎖に至る記述の掲載は省略します)
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TBS「世界ふしぎ発見!」ではシモン・コエンカス少年が登場、「ラスコー展」では犬の飼い主であったマルセル・ラヴィダ少年の名が登場。
解説では「犬が穴に落ちてしまった...」とあるが、或る資料では「犬が追いかけていたウサギが穴に逃げ込んだので...」とある。
細かいことをいうつもりはない。
洞窟内に描かれた無数の動物たちと、犬、ウサギ、そして、少年たちの<動物つながり>、更には、少年たちの<探検心>が「世紀の大発見」に結びついたということである。

第4章 ラスコー洞窟への招待。
次の5ヶ所が再現されている。
・「褐色のバイソン・ヤギの列・ウマの列」
・「黒い牝ウシ・ウマの列・謎の記号」
・「背中合わせのバイソン」
・「泳ぐシカ」
・「井戸の場面」

「ラスコー展」の全貌をここに綴るつもりはなく、図形や記号を中心に綴っておきたい。

「黒い牝ウシ・ウマの列・謎の記号」に関わる解説。
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黒い牝ウシ・ウマの列・謎の記号
・中央に大きく描かれた黒い牝ウシの背後を、様々なポーズをした20頭のウマが行進しています。
・ウシの角は先端だけが黒く塗られ、鼻先の線は舌を出しているようにも見えます。
・奇蹄類で1本指のウマと、偶蹄類で2本指のウシを脚は、しっかり描き分けられています。
・ウシの足元にある謎の四角形記号は、赤・黒・茶・紫で色づけられています。
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「ウシの足元にある謎の四角形記号は、赤・黒・茶・紫で色づけられています」とある。
有難い解説である。

特殊ライトで浮かび上がる「黒い牝ウシ・ウマの列・謎の記号」。
ウシの足元の、謎の四角形記号を視認。
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特殊ライトが消え、彩色された壁画が現れる。
謎の四角形記号をしっかりと見る。
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アップで。
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再び、特殊ライトが点灯し、謎の四角形記号の輪郭がくっきりと現れる。
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アップで。
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「ラスコー展」での記号に関わる解説は、然程、多くはなく、この「黒い牝ウシ・ウマの列・謎の記号」に関わる1行の解説のほか、後程、巡った二つのコーナーで解説があったのみである。

第5章の「ラスコーの壁画研究」のコーナーでの映像解説によれば、紫色が使われているのは、謎の四角形記号、ただひとつであるとのこと。
紫は貴重な顔料であったのかもしれない。
紫は何を意味していたのであろうか。
そして、枡形に仕切られた四角形は何を意味しているのであろうか。
映像解説の中で、枡形に色を塗っている様子が映し出された。
そのとき、この四角形は図形や記号ではなく、色合いを調合するパレットの役目をしていたのではないかと想像した。
ひょっとしたら、この素人考えが新説になるかも...。

壁画の記号のほか、第6章の「クロマニョン人の世界 芸術はいつ生まれたか」のコーナーに展示されていたトナカイの角で作られた投槍器に、線刻された動物と共に、楕円や菱形などの記号が刻まれていた。

楕円と菱形をTBS「世界ふしぎ発見!」で登場した「32の記号」で探してみた。
楕円(oval)はあるが、菱形は見当たらなかった。

TBS「世界ふしぎ発見!」の中で、古人類学者、ジェネビーブ・ボン・ペッツィンガー女史は、洞窟の壁に描かれた図形や記号のみならず、無数に描かれた「点(dot)」の集合体にも拘っていた。
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「ラスコー展」では、顔に点で<化粧>する様子が展示されていた。
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この<化粧>も何か意味するものがあるのであろう。

以上が、「記号の謎」についてである。

記号のことだけに留めようと思ったが、再現された5ヶ所の洞窟壁画のうち、5ヶ所目の「井戸の場面」は先の4ヶ所と画風を異にしており、続編で、「井戸の場面」について少々触れておきたい。

フォト#2~#8、#16:2017年1月21日、TBS「世界ふしぎ発見!」より
フォト#1、#9~#15、#17、#18:2017年1月26日@「ラスコー展」

(つづく)





by ryujincho | 2017-01-27 23:51 | Comments(0)


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