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龍人鳥の徒然フォト日記

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2016年 10月 13日

『下北半島/恐山(下)』

(「下北半島/恐山」/(上)の巻からの続き)

9月5日。
下北半島。
恐山。
総門、山門、地蔵堂と伽藍域を参拝し、いよいよ、地獄と極楽へ。
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バス・ガイドのおばちゃんが木柵のところに立って、「つまづかないように注意してくださーい。つまづいて、転ばないように気をつけてくださーい」と声掛けをしている。

で、転ぶと、どうなるか。
それは恐ろしくて、ここでは書けない。

転ぶことばないが、齢を重ね、足の上げ方が小さくなって来たのか、最近、時々、つまづくことがある。
要注意である。

さて、「下北半島/恐山」/(上)の巻の冒頭から、雲は垂れ込め、霧が立ち込め、おどろおどろしい雰囲気と綴って来たが、「恐山」の語源は「おそろしい山」ではないのである。
語源について、大好きなウィキペディアでは次の通り記されている。
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恐山は、カルデラ湖である宇曽利湖(うそりこ)を中心とした外輪山の総称である。
古くは「宇曽利山/うそりやま」と呼ばれたが、下北訛りにより変化し、「恐山/おそれやま/おそれざん」と呼ばれるようになった。
「ウソリ」とは、アイヌ語の「ウショロ/窪地」であり、これは恐山山系のカルデラを意味する。
外輪山は、釜臥山、大尽山、小尽山、北国山、屏風山、剣の山、地蔵山、鶏頭山の八峰。
「恐山」という名称の単独峰はない。
火山岩に覆われた「地獄」と呼ばれる風景と、美しい宇曽利湖の「極楽浜」との対比が特徴である。
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「ウソリ」とは、アイヌ語の「ウショロ/窪地」であり、これは恐山山系のカルデラを意味するとあるが、アイヌ語の「ウショロ(入江とか、湾という意味)」に由来していて、これがさらに転化してオソレ(恐)になったという説もある。

既に、硫黄の臭いが漂っている。
木柵の向こうへと進む。
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石碑と和歌。
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石碑には「空風火水地 大師説法之地」と刻まれている。
大町桂月が仏が浦を詠んだ歌は、「神のわざ 鬼の手造り 仏宇多 人の世ならぬ ところなりけり」であった。
ここ、恐山を詠んだ歌は、「恐山 心と見ゆる湖を 囲める峰も 蓮華なりけり」。
宇曽利湖を囲む外輪山は、釜臥山、大尽山、小尽山、北国山、屏風山、剣の山、地蔵山、鶏頭山の八峰。
これら八峰の姿は蓮華八葉とも呼ばれ、この歌にそれが詠み込まれている。
恐山を詠んだ歌は優しげ、仏ヶ浦を詠んだ歌は恐ろしげ、そうした対比で詠んだ歌なのであろう。

和歌が書かれた札の「大町」の「大」の文字は薄れて、「入」に見える。
この地は、「入」ではなく、「出」であろう。
ちょっと、筆でなぞってやりたい、そんなことを思わせる雰囲気が恐山には漂っている。

ほかの人も歩いているから安心だが、一人だけで歩くには何やら心細くなるであろう小径を進む。
硫黄の臭いが強く漂っている。
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荒涼とした岩、地蔵、そして、風車。
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更に荒涼とした地の奥に微かに坐像の姿が見える。
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坐像の御姿をアップで。
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こちらは小石を積み上げた塚と坐像、そして、風車。
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地獄の小径から宇曽利湖畔と極楽浜を遠望。
大町桂月もこの風景を眺めたのであろうと思いながら、カメラを向ける。
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極楽浜を、超望遠で。
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宇曽利湖畔に向かって進むと、右手に御堂が見えて来る。
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地蔵堂である。
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宇曽利湖畔の極楽浜に至る。
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山側を、今一度、
眺める。
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荒涼とした岩の中の小径から眺めた宇曽利湖畔の極楽浜に、今、立っているのである。
言わずもがなのことなれど、地獄よりも極楽の方がいいに決まっている。
「まむし注意」の立て札があるということは、極楽浜にはマムシが生息しているのである。
マムシだって、極楽浜の方が棲み易いのである。

極楽浜から、一路、伽藍域へと向かう。
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六大地蔵さんの背が見えて来た。
何やら、ほっとする。
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総門脇の案内板、「恐山奥の院」に目を通す。
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恐山奥の院

地蔵菩薩は中心にして不動阿字の本体なり
若し衆生有って是の心を知らば決定して成就す
「仏説延命地蔵菩薩経」より

この一句は地蔵菩薩と不動明王の二而不二を意味し、不動明王は地蔵菩薩の化身というのであります。
それゆえに、当山本尊伽羅陀山地蔵大士を中心に、奥の院地蔵山不動明王、奥の院釜臥山嶽大明神本地釈迦如来が一直線上に奉納され、三者が一体であることを意味しております。

当山は伽羅陀山地蔵大士を本尊に仰ぐ霊場であります。
地蔵菩薩の「地」という文字は大地をあらわし、「蔵」は生命を産み出す母胎、母の心をあらわしております。
人に踏まれても、ひたすら人をささえていく大地と、子の痛みを我が痛みとしてしかとうけとめてくれる母の心こそ、地蔵菩薩そのものなのであります。

即ち、釈迦如来の附属を受けた本尊の慈悲心と一切の煩悩を打ち砕く確固たる不動心の現成(げんじょう)が蓮華の花びらのような八峰(地蔵山・鶏頭山・大尽山・小尽山・北国山・釜臥山・屏風山・剣の山)に囲まれた蓮華台の如き恐山そのものなのであります。

ご参拝の皆様には「釈迦地蔵不動一体義」の元、これら三聖地をお参りなされることによって、当山参拝の結願が決定成就されるのであります。

霊場恐山 恐山菩提寺
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仏ヶ浦ヶ奥の院かと思いきや、然に非ず。
この案内板で奥の院のことがよく分かった。
更に、山門の扁額は「恐山」、地蔵堂の扁額は「伽羅陀山」で、いずれが山号であろうかとの疑問を持ったが、その疑問もこの案内板で解けた。

三聖地を参ることは叶わなかったが、地蔵堂の地蔵菩薩をお参りし、地獄・極楽浜をめぐることが叶った。

フォト:2016年9月6日

by ryujincho | 2016-10-13 23:58 | 出羽国・陸奥国の旅 | Comments(0)


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